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しんがいの未来を考える会    代表 城間和行

 「しんがい」。父と母が出会い暮らし、私が生まれた場所。大人の男と女を遊びながら遠望した場所。そして大人になり、カウンター越しにまちの移ろいを定点観測した場所。

 60年代、子どもの目で記憶した「しんがい」の風景は、その多くが今は存在しない。夏休みの缶けり遊び。祇園さんから一斉に逃げ出し、店の裏口が続く、毛細血管のような細路地へ。衣文を抜いた浴衣姿の綺麗なお姉さんが、笑いながら手招きをする。どこかの店の衣裳部屋に私は隠れた。いまも、化粧と樟脳の匂いが鼻腔に残っている。記憶の迷宮。銀髪の流し。ドレス専門店。シュミーズ姿のお姉さん。貸本屋。射的。大島姿の旦那。バンドマン。甘味屋。氷売り。ゲームセンター。紙芝居。三味線の音。パーマ屋。グランドキャバレー。映画館。パチンコ屋・・。

まちに体臭があった。新しくて爽やかな、まちのかぐわしさを再生しましょう。

 

 

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