オトナの、ディープな、街歩き。
2016年06月11日(土)
広島県内を中心に、独自の授業を行っている
「ひろしまジン大学」よりお招きいただき、
【尾道・新開探訪~裏路地に生きた女たち~】というタイトルで、
新開エリアの街歩き授業を行いました。
~授業内容レポート~
尾道。広島県内でも屈指の観光地で、しまなみ海道の出発地点。
数多もの映画の撮影地になっており、
坂に位置する古寺をそこかしこで日向ぼっこする猫を脇目に巡るのも楽しい。
また坂の上から見る尾道水道の景色の美しさは、
行ったことがある方なら誰もが感銘を受けるであろう。
そんな「観光地」、尾道。
中央商店街を抜けた先の市役所あたりに「新開地区」という、
何とも言えない昭和の香りが漂うディープな空間が存在する。
ほそーい路地が迷路のように入り組んだ道の両側には、
スナックの看板が所狭しと並び、
一見の観光客ではなかなか入りにくいような渋い飲み屋が軒を連ねる。
今回の授業は、そんな尾道の素敵なディープスポットである新開地区を散策。
ここ新開地区は元々遊郭であり、
南北朝時代から存在していたという記録もあるそう。
戦時中に空襲を逃れることができたからこそ、その街並みが残っており、
街が醸し出す雰囲気がディープなのだろう。
例えば新開地区のメインストリートである「中之町通り」という通りがあるのだが、
現在の感覚からすると驚くほどに狭いその道は、
正に昔の通りが現存している証拠であり、
その通りの名前も東京の遊郭である吉原のメインストリートに倣って名づけられたそうだ。
遊郭での「美人」と言われる条件を御存知だろうか。
容姿が整っているのは勿論だが、長い髪をうまく纏められる技術があることや、
琴や花や文学など芸事に精通していることなど、
今でいう同性が憧れるファッションリーダー的な側面があったそうだ。
それ故に、尾道の遊女は他の地域の遊郭に比べてプライドが高かったようで、
大坂の役人相手に直談判するような大胆な行動をしたこともあるのだとか。
通常の観光ではなかなか耳にできないそんな遊郭の話を聞きながら、
路地を歩き、昔の面影を残す建物を巡り歩いていく・・・。
観光本で街の歴史を読んで歩くことはできるが、
今回はサブカルチャーと生活が混じったような「歴史」にならない過去を知り、
目を閉じて想像しながら歩く。やっぱりちょっとオトナな授業となった。
是非、尾道に行ったときは一般的な観光地以外にも、
新開地区に足を踏み入れてほしい。ディープな尾道が、あなたを待っている。
■レポート/ひろしまジン大学 三枝 大祐
■情報掲載HP http://hirojin.univnet.jp/subjects/detail/307